腎臓病センターで診る疾患について

腎臓内科

当科では内科的腎疾患の全て、すなわちIgA腎症を代表とする各種糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、間質性腎炎、血管炎・膠原病・糖尿病・高血圧・動脈硬化・痛風・感染症など全身性疾患に伴う腎疾患、多発性嚢胞腎・ファブリー病・アルポート症候群などの遺伝性腎疾患、急性・慢性腎不全、さらには慢性腎臓病(CKD)と呼ばれる種々の原因により腎機能障害や尿所見異常が慢性的に続く病態など、多岐にわたる疾患を対象に治療を行っています。なかでも、IgA腎症に関しましては専門外来を設け積極的な治療を行っています。

慢性腎臓病(CKD)患者さんは、わが国では8人に1人存在するとされ、症状が出にくいため、明らかになった時にはすでに進行した厳しい状態になっていることが多いのが現状であるため、透析導入を避ける・遅らせるために生活習慣病を中心とした治療介入を行っています。
また、最終的に腎臓の替わりとなる治療(腎代替療法:腎移植、血液透析、腹膜透析)が必要となった患者さんへ対しましては地域の透析施設並びに訪問看護ステーション等の地域サービスと連携して、安心・安全な透析導入・維持を行っています。

血液浄化療法室

血液浄化療法室では、慢性の末期腎不全患者に対する血液透析療法に加え、急性腎障害患者に対するCHDFなどの急性血液浄化療法、血漿交換・エンドトキシン吸着・顆粒球除去などの各種アフェレシス療法、さらに難治性腹水患者に対する腹水濾過濃縮再静注法(CART)など腎臓以外の疾患に対しても広範な治療法に対応しています。

腎臓外科

腎移植・膵移植

末期腎不全に対する治療として腎移植がありますが、八王子医療センター開設以来700例を超える腎移植を手掛けています。多摩地区唯一の成人腎移植施設であり、都内だけでなく隣接他県からの患者さんも受け入れています。
近年、腎移植成績の向上とともに免疫抑制薬の調整だけでなく血圧管理などの全身管理や新規獲得抗体による抗体関連型拒絶反応への対応が課題になっています。腎臓内科や薬剤師、管理栄養士とともにこれらの課題に対応しています。
さらに移植支援室が移植前後の患者さんのサポート、献腎移植や膵移植希望者の臓器移植ネットワーク登録業務を支援します。移植医療の啓発活動にも積極的に取り組んでいます。

バスキュラーアクセス

腎臓内科や周辺医療機関から依頼を受け、血液透析を行うための血管手術(シャント設置や人工血管留置)やシャントトラブル時(血管閉塞や狭窄など)の診察に対応しています。血液透析を安定して行うためには、これら「バスキュラーアクセス」は非常に大切です。治療には専門性の高い知識や経験が求められますが、当科では関連学会の専門医・認定医を中心に診療に当たります。従来のバルーン拡張術に加え薬剤溶出性バルーンでの治療やステント留置の対応も可能です。

腹膜透析カテーテル

腹膜透析を行うためには腹腔内にカテーテル(チューブ)を留置する必要があります。患者さんにとって最適な位置に留置できるように腎臓内科と連携して手術計画を立てます。また大網巻絡などのカテーテル関連トラブルにも外科的対応が可能です。当科は消化器外科経験者も多いため適切な術式選択による治療が可能です。