腎代替療法

腎代替療法の選択

慢性腎臓病は長い年月をかけて悪化していきます。腎臓は再生しないので、残念ながら治すことはできません。
進行性に腎機能が低下して、利尿剤に反応しない足のむくみ、息切れ、食欲低下を認めるようなら、自分の腎臓だけでは、体の中の老廃物や余分な水分を排泄することが限界なので、腎臓に成り代わって老廃物や余分な水分を排泄する治療の助けが必要になります。このような治療を腎代替療法といいます。
腎代替療法には腎移植、血液透析、腹膜透析があり、当院ではどの治療でも選ぶことができます。(*その他に在宅血液透析という方法がありますが、当院では実施していないので、ご希望があれば、連携病院の東海大八王子病院に依頼します。)

腎代替療法 図

どの治療が自分に一番合っているか選択する前に、今現在、患者さんご本人が大事にしていること、生き甲斐、趣味、仕事、などを改めて見つめ直してもらいます。それは、腎代替療法を受けるために生きているような人生にしてほしくないと思うからです。腎代替療法を受けながら、できる限り患者さんが大事にしていること、生き甲斐、趣味、仕事を継続できる方法を選択できるように、腎臓病センター・腎臓内科外来、または病棟で我々医療スタッフが一緒に考えて決定のお手伝いをします。
このような方法をShared Decision Making(SDM):日本語では共有意思決定といいます。根治療法や唯一絶対の完治療法がない慢性疾患の場合や、治療法の選択肢が複数ある場合には、そのメリット・デメリットを含めた治療法への理解を深め、患者と医療者が社会的背景も含めた相互理解のうえに納得のいく選択をする方法です。

それぞれの腎代替療法の特徴を表に簡単にまとめました。身近にこれらの治療を受けている方がいないと、なかなか想像がつかないと思います。我々はそれを実施している様子がイメージできるように、血液透析室の見学や、腹膜透析のデモンストレーション、移植コーディネーターとの面談などを患者さんの希望に応じて、セッティングしていきます。
腎代替療法は、その後の人生に関わる問題なので、尿毒症症状の出ないうちに、余裕をもって考えて準備しておきましょう。

腎代替療法 表