常染色体優勢多発性嚢胞腎(ADPKD)

常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)とその治療

ADPKDは両側の腎臓に嚢胞が多発し(図1)、慢性に腎機能が障害され末期腎不全へと進行する、最も多い遺伝性腎疾患です。ADPKDの患者さんの大半は成人前に多発嚢胞が確認できますが、40歳代ころまでは無症状で経過し、加齢とともに嚢胞の増大・腎機能障害が進行し、約半数が60歳までに腎代替療法が必要な状態になるとされています。嚢胞が形成され慢性に増大しても、感染や出血など急性な変化を伴わない限り痛みなどはなく無症状であるため、その診断は家族歴と画像診断に基づいて実施されます(図2)。

最近まで嚢胞の増大を止めるような根本的な治療法はありませんでしたが、近年トルバプタンという内服薬が嚢胞の増大を抑制し、疾患の進行抑制に有効であることが確認され、臨床応用されるようになりました。当科でも2泊3日の入院コースにより治療の導入に対応しています。ただし、本治療が適応になるのは、ADPKD患者さんの全てではなく、腎機能や嚢胞の増大速度などに関する一定の基準がありますので、当科に受診して適応をご確認いただく必要があります。ご相談希望の患者さんはどうぞ初診受付をしてください

図1 腎臓の嚢胞
ADPKD 図1

ADPKD 図2