移植コーディネーター chieの部屋

検診での蛋白尿や高血圧を、そのままにしないで!

事例:Aさん(30代男性)

移植コーディネーター chie

移植コーディネーターchie

腎移植を希望される患者さんから、「前から言われていたけど、忙しくてほっておいたら、突然悪くなって」、「疲れているだけかと思っていたんです」という声をよく聞きます。
今回、同じような発言をされていた患者さんの経過や病院でのやり取りをご紹介します。皆さんの中にも気になる症状がある方がいれば、早めに病院に相談しましょう。
事例:Aさん(30代男性)

事例Aさん30代男性

疾患名
腎硬化症
経過
16歳 高血圧を指摘される
17歳 学校健診で、蛋白尿で引っかかる
23歳 高血圧を自覚し、腎臓内科受診
27歳 腎機能が急激に悪化し、透析導入となる
透析導入6カ月後、生体腎移植施行

移植コーディネーターchie(以下:Co):いつ頃から腎臓が悪いと言われていましたか?

Aさん

16歳の時、交通事故で入院したんですけど、血圧が高くて、先生から「若いんだから、血圧に気を付けなよ」って言われたことがあるのと、17歳の時、学校検診で、蛋白尿で引っかかったので、その頃かな。

Co:その時から、病院を受診したり、血圧などに気を付けたりしていましたか?

Aさん

入院中に言われたけど、薬も出なかったし、気にしてなかったな。

Co:病院にはどんなきっかけで行ったのですか?

Aさん

友人の親が医療関係者だったんだけど、その友人の家でゲームをしていた時に、何故か血圧の話になって、血圧を測ったんだよね。そしたら、200以上あって(笑)、初めは器械が壊れてるんだと思ったけど、友人の血圧は正常だったから、友人の親に「すぐに病院に行きなさい」と言われて、近所の病院に行ったんだ。
そうしたら、腎機能が悪すぎるので、医療センターを紹介されて…。そこで結構悪くなっているんだということを知ったんだよね。

Co:血圧を測るまで、頭が痛いなどの自覚症状はありましたか?

Aさん

頭は痛かったよ。下を向くとクラクラしたけど、ただの頭痛かと思っていたから。

Co:腎臓内科に通いだしてからは、腎臓が悪いという自覚や、食事・内服、定期受診など、自己管理は出来ていましたか?

Aさん

(腎不全について)よく分かってなかったね。仕事が忙しかったし、食事を変えても悪くなるのは止まらなくて、気が付いたら透析をしないといけない状況だったんだよね。

Co:腎移植や腹膜透析を選ばずに、血液透析を選んだ理由は何ですか?

Aさん

家族が腎臓を提供してくれるって言ってくれたけど、尿毒症があったから、まずは透析をしようってことになったんだ。

Co:今、振り返って、思うことはありますか?

Aさん

腎臓が高血圧で悪くなるとは思わなかったんだよね。あの日、友人の家で血圧を測っていなければ倒れていたと思う。

移植コーディネーター chie

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今回の患者さんのように、若年者に多いのが、体力がある・仕事がのっている時期だ・育児で忙しい などの理由で、体調不良への対応を後回しにしてしまい、疲れているだけと考えて、知らず知らずのうちに腎機能低下が進行してしまうケースです。
血圧が高い、尿の異常などのサインで出ていたのに、残念でなりません。早期に治療をすれば、悪化を抑えられるかもしれないし、個々のライフスタイルに合わせた腎代替療法選択が出来ます。
ちょっとしたサインも放置せずに、まずは病院で相談してください。
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