免疫抑制薬は怖い?
vol.3
腎移植に限らず、臓器移植後は免疫抑制薬の服用が不可欠です。実は移植臓器によって服用する免疫抑制薬の量は異なります(肝臓移植は比較的少ない)が、腎移植後は2~4種類を服用するのが一般的です。多剤併用療法といって、一つ一つの薬剤量を減らすことで副反応を少なくし、総合的な効果を得ようという作戦です。
この「数種類飲むこと」=「たくさん」が怖いというイメージに繋がるのかもしれませんが、正しく恐れることも大切です。腎移植後の方が皆さん風邪を引きやすいわけではありません。だからといって健常者と全く一緒というわけではなく、免疫抑制薬を服用している方がかかりやすい感染症もあります。最も有名なのがサイトメガロウイルス感染症です。普段はおとなしいウイルスですが、免疫抑制薬服用者や抵抗力が落ちてくると俄然勢いづくウイルスです。私たちは外来診察で定期的にサイトメガロウイルスのチェックを行っていますが、免疫抑制薬の量が適切かどうかにも注目します。薬剤の腸からの吸収は個人差が大きいため、血液中の濃度によって投与量の微調整を行います。