生体腎移植ドナー基準について
vol.2
生体腎移植ドナーの基準については2005年のアムステルダムフォーラム基準が国際基準として定着しています。ただ日本の実情に必ずしも合っていないため、2014年には日本移植学会、日本臨床腎移植学会、日本腎臓学会が合同で「生体腎移植ドナーガイドライン」を発出しました。このガイドラインを遵守することが求められていますが、各施設でさらに様々な基準を決めて慎重に運用しています。
つまりドナー候補の方がクリアすべき基準は多岐に亘るということです。悪性腫瘍が無いか、将来的に腎障害が起こらないか、手術に耐えられるか、そして腎臓の提供が自発的意思であるか、等々です。「異常が無い」ことを確認することはとても難しく、得られた検査結果を慎重かつ客観的に評価、解釈します。2017年腎臓病センター発足後、腎機能の評価について腎臓内科と協同して新たなドナー腎機能基準を作成しました。
施設毎に考え方が大きく異なる点の一つに年齢の問題があります。目安を70歳以下とするものの実情は70歳代でドナーとなる方もおられます。高齢者はもとより、若年者であっても生涯にわたり腎不全に至らないと予想される状態を確認すべく慎重に検査を進めます。そのため移植までに数ヶ月を要することもあり、時にはドナー候補の方に腎生検を行い異常ないことを確認することもあります。
東京医科大学八王子医療センター 腎臓病センター ドナー腎機能基準