腎臓病コラム(ドクターコラム)

ドクターコラム

SGLT2阻害薬について

腎臓内科・血液浄化療法室 講師 内田貴大

vol.2

今回は、慢性腎臓病(CKD)の新規治療薬として注目を浴びているsodium glucose co-transporter 2 (SGLT2)阻害薬についてご紹介いたします。腎臓の濾過装置(糸球体)に続く尿の通り道を尿細管といいますが、この尿細管には、人体に必要な成分が尿中に排出されてしまわないように再吸収する機能があります。SGLT2は尿細管に存在し、ナトリウムやブドウ糖を再吸収する役割を果たしていますが、SGLT2阻害薬はこの再吸収を阻害します。

SGLT2阻害薬は、尿中へのブドウ糖排泄を増加させることで血糖値を改善させる内服の血糖降下薬として、2014年に我が国で初めて発売され、現在までに6種類の薬剤が市販されています(注: 2023年4月時点)。尿中ブドウ糖排泄亢進による利尿効果や尿中ナトリウム排泄亢進により血圧低下作用が期待されますし、尿中ブドウ糖排泄亢進は体重減少もきたし得ます。

腎臓、ナトリウム、ブドウ糖

SGLT2阻害薬は、尿中ブドウ糖排泄を増加させることで血糖値を改善させる尿中ナトリウム排泄も亢進する

当初は血糖降下薬、すなわち糖尿病治療薬として市販されたSGLT2 阻害薬ですが、腎臓や心臓の保護効果を有することが、その後の大規模臨床試験を通じて報告されるようになりました。さらにその保護効果が、糖尿病患者さんのみならず、糖尿病をお持ちでない患者さんにも認められることがわかってきました。腎臓については、CKDの進行を抑えるのみならず、急激に腎機能が低下する急性腎障害(AKI)の発症も減少させることが報告されています。CKDのステージG4という高度に腎機能が低下した患者さんにおいても、また、日本で最も多い糸球体腎炎であるIgA腎症患者さんにおいてもその効果が報告されておりますし、腎疾患治療薬として広く用いられているアンギオテンシンII受容体拮抗薬やアンギオテンシン転換酵素阻害薬との併用も有効です。腎機能の低下に伴い貧血や高尿酸血症の合併頻度が上昇してきますが、SGLT2阻害薬には、一定の貧血改善効果や血中尿酸値低下作用があると想定されています。大規模臨床試験の結果を受けて、一部のSGLT2阻害薬には保険適応が追加され、糖尿病合併の有無に関わらず、CKDや慢性心不全の患者さんに対して処方が可能となりました(注:全てのSGLT2阻害薬をCKD患者さんに処方できるわけではありません)。

このように多彩な作用を持つSGLT2阻害薬は非常に魅力的であると考えられますが、気をつけなければならない点もあります。まずは副作用についてです。代表的な副作用として体液量減少(脱水)や尿路・性器感染症があげられ、患者さんによっては、水分摂取量を増やす必要があります。また、内服開始後早期に腎機能が悪化する可能性があることが知られていますが、これは必ずしも副作用とは言い切れないため、自己判断で中止しないようにしてください。侵襲の大きな手術等にあたっては一定期間の中止が必要になります。いずれについても、あなたの大切な腎臓を守るため、主治医とよく相談して治療に取り組むようにしてください。

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